3. Re:Re:無題

学校のテストが終わった。大学生活最後のテストは「ポピュラー音楽特論」だった。ポピュラー音楽といっても映画音楽の授業で、映画みたり音楽聞いたりしている。学校に着いて喫煙室に入ると、ジョンが古澤さんに映画音楽について色々と質問し、メモしていた。ヘンリー・マンシーニ、バーナード・ハーマン、ニーノ・ロータ……それから俺もジョンにエンニオ・モリコーネ、ジョン・バリー、ジェームズ・ホーナーを教えて、それをジョンはメモしていった。しょうしょ君から授業プリントをもらった。だがテストはプリント持ち込み不可だった。問題は難しく、ぼくらは最後の記述問題にかけるしかなかった。書かなくても減点はされない任意の問題だが、素晴らしい文章には点数をくれるらしい。「あなたが好きな映画音楽について語りなさい」というような問題で、俺は「パルプフィクション」を書き、ジョンは「サスペリア」を書いた。テスト用紙の裏いっぱいに書いた。ジョンもそうらしい。4年生にもなって、任意で書くおまけ問題にしがみついているのだ。
このテストの前日くらいにジョン・バリーは亡くなっている。だからテストの次の日は喪に服すことに決め、地味な服着て、肉は食わずにざるそばばっかり食べていた。テストも終わり、小説も書き終えたので、ご褒美にウィスキーを買った。ターミネーター3をみながら酔っ払って、1人でアンビエントのDJをした。テレビを持ってないけど、ジョン・バリーの死はニュースになったんだろうか?
そういえば、10日ほど前に、トマス・ピンチョンが死ぬ夢をみた。ツイッターで「アメリカ文学作家のトマス・ピンチョンが誘拐もしくは死亡という説があがっています」というのを誰かがリツイートしていた。そのあとフォローしてる誰かが「なにっ!ピンチョン死亡???」というのを書いてた。世間に一切姿を現さない作家であるから、死亡か誘拐かもわからないというのはありえる話だった。そしてすぐ後に誰かが「米文学のトマス・ピンチョン氏が亡くなっています」という言葉とともにWikipediaのURLが貼りつけてあるのをリツイートしていた。Wikipediaはピンチョンのページだろう。恐らくそこにはしっかりと死亡した年月が書かれているにちがいない。「ああピンチョン死んだか。結局7作品しか出さなかったか。なんて惜しいことをしたんだ」と思い、「しかも二大ひきこもり作家のサリンジャーとピンチョンが同じ日に死ぬとは……」と思い、またしても「明日は喪に服そう。地味な服着て肉は食わないようにしよう」と思っていた。別に俺はサリンジャーの命日なんて知らないのに、なぜそんなことを思ったのか不思議だった。それで、さっきサリンジャーをWikipediaでみてみたら、俺がピンチョンの夢をみたのはサリンジャーの一回忌だった。「これは一体どうしたものか????」サリンジャーが死んだ日に、トマス・ピンチョンが死ぬ夢を見ちまった。これはどうしても、今日は喪に服さないといけない。地味な服着て、肉は食わないようにしよう。

3. Re:Re:無題 3. Re:Re:無題 Reviewed by asahi on 23:47 Rating: 5

3 件のコメント:

Powered by Blogger.