JOURNAL180918

兄と二人でパブリックスペースで飲みだった。

パブリックスペースというのは、
ぼくらおなじみのお楽しみ概念で、つまり、
居酒屋にいく金もないので、路上で飲もうやと、そういうことなのだけど、
ただそれだけの話が、ひろがりにひろがって、
雑誌でも特集くんだりして、なんか気づいたら坂口恭平もしくは山下陽光的な「意識改革」のような、
啓蒙っぽい「おれら、自由でしょ、本当に大事なものが何か見えてる兄弟でしょ!」っていう
雰囲気がでてきて、少し困るのだけど、
まあそれはそれで良いとして、
でも、パブリックスペース関連は、
兄と、大垣さんという大阪の鍼灸師の方(この方も雑誌に登場している)
の二人が作り上げて来たサークル活動的なものなので、
ぼくも楽しみつつ、二人の動向を見守っている感じ。
もちろん、路上で飲むという、パブリックスペース運動には積極的に参加しているけど。

んで、この日は兄と二人で、池袋の芸術劇場付近でのパブリック飲み。
雨上がりのコンクリートで、結構べちゃべちゃ。
それを避けて、比較的安全そうな場所を探す。

あの辺り、結構若者がはしゃいでいることが多くて、
この日も、5人くらいの団体が大声ではしゃぎまくっていて、
大声でわめくし、
なんかよくわからん最近流行っているのかなんなのかわからない芸人のネタのようなものをやりだすし、

それから別の3人組みたいなのも近くで飲みながら大声あげたりしていて、

結構、うるさい現場でした。
まあ、パブリック研究しているぼくらからしてみれば、
そいつらはただの初心者で、はしゃぎたいだけの年頃で、
やり場のないリビドーを、ナンパする勇気もなく、
ただ大声で「我は面白い若者なり」ってアピールしているだけなので、
ぼくらといえば、「鬼ころし」と「鬼ごろし」を飲みながら、
「ほっほっほ、若いのぉ。それで良い、それで良い」
ってな感じ。

ついでに、その日に気づいたのだけど、
「鬼ころし」と「鬼ごろし」は、全然別物の酒で、
味のコンセプトも違えば、販売元も製造元も全然違う、
いわば全く無関係の飲み物なのであった。
雨上がりの路上でぼくらは二つの、
名前は似ているけれども全く無関係の飲み物を飲み比べながら、
「あらま、こんなに味ちがうのね」
と楽しんでいた。
気分は日本酒バーだ。

すると、急にザーザー振りの雨がきて、
はしゃいでた若者たちは全員、やべえやべえ言って、すぐに帰っていった。


「そして、パブリックスペースの達人だけが残ったのであった」
と、思わず言ってしまう。

あんなに若者がいっぱいいてうるさかったのに、
今は、広大な芸術劇場近くの広場に、ぼくら二人だけ。

それからしばらくして場所移動。
今度は池袋の駅ビル付近の路上(というか入り口のような感じ)



「立ち入り禁止」の境界線で飲んだらどうなるか、という実験。
立ち入っているのか、それとも立ち入っていないのか。

しばらく飲んでいると、
警備員が現れる。
警備員は、無視して通り過ぎる。

ぼくらは顔を見合わせた。

ぼくらは、ぎりぎり立ち入らない男であった。
境界線というグレーゾーンでは、一応、許されるのだなと。

サンチョ・パンサが「論理でどうにもならない時は、慈悲深くあれ」的なことを
言ってたのを思い出す。

「ぼくら、マージナルマンやね」とぼくがいう。
「ん? なにそれ」と兄がいう。
「中学校で習わんかった? 境界線のひと」
「がくは、すごいレベルの教育を受けて来たんやね」
もちろん兄弟、同じ中学校に通っていたのだ。




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