甲野善紀のナンバ歩きについての動画を観ていて、るろうに剣心を思い出した。
ナンバ歩きとは、近代以前の日本人の歩き方で、現代のように右手と左足を同時に出す歩き方ではなく、右手と右足、左手と左足を同時に出す。現代の(西洋流の)歩き方に比べ体を捻じ曲げないので、体力の消費を抑えることができ、一日100キロ走る飛脚なんかもこの方法で走っていたらしい。
浮世絵でも
佐川急便の飛脚も
何か力仕事をするときに、例えば右手で鍬をもって畑を耕す時に、左足を前に出すのは非常にやりにくい。スポーツでも武術でも同じだ。テニスでも剣道でもボクシングでもバスケでも同じだ。
近代以前の日本人は、この合理的な方法で歩いていたらしい。
僕らも、山登りなどで急な斜面にしんどい時、無意識にナンバ歩きをしているものだ。
冬の寒い日にはズボンのポケットに手を入れて歩く。するとナンバ歩きになり、体力消耗を防ぐのだ。
なぜ、るろうに剣心を思い出したかと言うと、幼い頃に読んだ飛天御剣流の奥義だ。緋村剣心が最後に修得した奥義は天翔龍閃という抜刀術で、その秘技は、「左足を前にして抜刀する」というものだった。
幼いながらにこの部分を読んで、「よっわいオチやなあ」と思ったものだ。なんせ今まで剣心が繰り出して来た技は、一瞬で九つの急所を突く技や、上空から回転するように落下してくる技など、とんでもないスゴ技ばかりだったのだ。しかし最後の最後に登場した奥義がまさかの「左足を前に出す」というものだった。えぇえぇぇぇえぇ、だった(僕の心境が)。
しかし甲野さんの話を聞いていると、それが(当時としては)よほど画期的なことだとわかる。抜刀は足を切らないために右足を前に出すというだけのものじゃなくて、歩き方そのものが右手と右足がセットだったのだ。
ぼくは中学生で剣道部に入部した頃、右足を常に前にする歩き方を練習させられた。それは右手に竹刀を持っているからだ。
天翔龍閃は左足を前に出す。
この方法で出す抜刀の威力は、ちょうどテニスのサーブのようなものかもしれない。
そういえば昔、こんな夢をみた。
人から追われていて、僕は逃げている。
ずっと走っていると、四足歩行の方が楽なんじゃないかと思い始める。
最初は両手両足バラバラに動かすが、山を一つ超えるころにはチーターの如く両手と両足を交互に繰り出すプロフェッショナルになっていた。ああこの走り方って合理的やなあ、って思う夢。
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