フレディー命日に想う、映画『ボヘミアン・ラプソディ』とぼくの変な青春



高校に入学したばかりのぼくというのは、ちょっと常軌を逸しているというか、入学初日に縄跳びを持って別のクラスの教室に入っていって、知らない生徒を縛り上げたあげく、また別のクラスに入って「今から歌を歌います」と宣言して、知らない生徒の机の上に逆立ちをして「ボヘミアン・ラプソディ」を熱唱する、ということをしていた。
このエピソードはこうやって文章にするとドタバタ漫画のような嘘くさい描写になってしまうが、まったく本当の話。

ぼくの高校生活はボヘミアン・ラプソディとともに始まったのだった。

ちなみに、ぼくの中学時代は、これと逆にボヘミアン・ラプソディとともに終わったのだ。

というのも、話を遡ると、小学校の卒業式の話になるのだが、
卒業式に自分たちが退場するときの音楽を何にするか、というのを生徒同士で話し合って決める、というときに、
女子は全員、当時流行っていたスピードというアイドルグループの曲で一致していて、
男子はみんな、どうでもいい、という感じだった。

そこで、ぼく一人がエルトン・ジョンの「スカイライン・ピジョン」にしようと提案して、
それでみごとに全員を論破した挙句に、
結局卒業式の退場BGMはエルトン・ジョンになったのだった。

それで、
中学校の卒業式の時にも同じような流れになって、
今度は、卒業生が全員で合唱する曲は何がいいか、
という話になって、
女子は全員、19というユニットの「紙ヒコーキ くもり空わって」という曲で一致していて、
ぼくだけがクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』を主張した。

そして議論になったのだが、
この時ばかりはぼくは女子たちにコテンパンにされて、
というのもぼくは基本的にクラスで女子たちに嫌われていたので、
もうボッコボコという感じ。

だから、ぼくはボヘミアン・ラプソディの思い出とともに、
負け戦に出かけ、中学校生活最後の春に散ったのだった。

そしてボヘミアン・ラプソディとともに幕開けした高校。
ここでぼくは初めてきちんとバンドを結成して、
まさにクイーンのような曲を作り始めるのだ。

サーカスきりんというバンドは、
ライブでは全員シルク素材の中国の表演服を着て、
ぼくがピアノ&ボーカル、そしてギターとベースとドラムスがいる、
全員がコーラスをして、
もちろんお化粧もして、
クラシカルな編曲とめまぐるしい展開、
木刀でキーボードをぶっ壊すなどの派手な演出、
そういう感じだった。

実際問題ぼくは、クイーンの(ピアノが主軸となる)曲はだいたい弾き語りで歌っていたし、CDもDVDもバンドスコアもピアノ譜も持ってたし、
それからフレディーがつけてたフォークのブレスレットを
手作りしてつけたりしていた。

その後、フォークのブレスレットは、映画『エレファント』で主人公がつけてたらしく、
ぼくがいつもフォークのブレスレットつけてるので、
映画好きの人に、「『エレファント』の影響?」ってきかれたことがある。
エレファントの主人公がフレディーから影響うけてるかどうかはわからあない。




だからぼくは、
世界エイズデー(12月1日)にはしっかりと
HIV検査に行ったし、
コンドーム推進派であった。

世界エイズデーとは名ばかりで、
オシャレして保健所に行くと、
中には深々と帽子をかぶってマスクをして黒いロングコートを着た、
完全に訳ありな女性が待合室にいて、
受付では名前ではなく番号で呼ばれ、
検査の前のヒアリングでは、
「検査を受けるにあたって、HIV感染に関して思い当たるような何かがおありですか?」
ときかれるので、
「世界エイズデーなので来ました。フレディ・マーキュリーのファンです。よろしくお願いします」
とこたえると、
「最近、外国の方と性交渉を持ったなど、思い当たる何かがおありですか?」
ときかれ、
「いや、世界エイズデーなので、きました」
「では、思い当たる節は、ないのですか?」
「あの、いや、今日って世界エイズデーで合ってます?」
「はい。世界エイズデーです」
こんな状況なのだ。

保健所で無料で検査できるので、ぜひみんな受けに行ってほしいね。
C型肝炎とか梅毒とかもついでに検査できるから。


映画『ボヘミアン・ラプソディ』をフレディ命日に
映画館に観に行くにあたって、
ぼくはあらかじめ細かくストーリーを予想していたのだが、
実際に観に行ってみると、ほとんど正解だった。
使用される楽曲も、展開も、登場するエピソードや決め台詞のようなものも、だいたい正解。
ネタバレになるし正解した部分については触れないけど、
あえてぼくの予想が外れた箇所を列挙すると、

・フレディとセックス・ピストルズ(シド・ヴィシャス)についてのエピソード出そうで出なかった。
・デイヴィッド・ボウイそっくりの役とマイケル・ジャクソンそっくりの役が(2つの該当曲のくだりにおいて)登場すると思ってたが、出なかった。
・エンドクレジットはあえて『ゴッド・セイブ・ザ・クイーン』で厳かにおわると思っていたら違った。
・自宅でのパーティのシーンはもっと性的に過激なものを予想していた。
・ボヘミアン・ラプソディのMV制作のくだりがなかった。
・スマイル時代のライブの様子まで登場するとは思ってなかった(これは嬉しいサプライズ)
・FOXロゴのあの音楽に関しては、全く予想外(アイムハッピー。号泣)

ところで、
この映画がおもしろいのか、おもしろくないのか、
まだ観てない人にきかれたりするんだけど、
そんなもの、ぜーんぜんわからないし、
どーでもいいよね。
クイーンそっくりな人たちが、クイーンのライブ完全再現で
描かれるんだから、

それだけで、映画というエンターテインメントに感謝だね。
ぼくのへーんな青春と、へーんな人生のはじまりはじまり、っていうところに、フレディーがいるんだから。


フレディー命日に想う、映画『ボヘミアン・ラプソディ』とぼくの変な青春 フレディー命日に想う、映画『ボヘミアン・ラプソディ』とぼくの変な青春 Reviewed by asahi on 23:18 Rating: 5

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