なぜ世界のハッカーの8割はマケドニア出身なのか(架空読書002)


マケドニアは、旧ユーゴスラビア解体の副作用によって複雑な個人主義に陥っている。世界的に注目されるハッカーのほとんどがマケドニア出身だということも驚きだが、本書が述べているポイントはそこではない。マケドニアのインターネット環境が整えられたのはここ最近の話だが、文化的にはむしろ、インターネットの黎明期から文化的な親和性を獲得していた、ということである。
つまり、マケドニアの若者は、国内にインターネットが普及するより以前から、独自のインターネットを行なっていた。その多くは非常にアナログなもので、壊れたパソコンのキーボードを打ちながら目の前の相手と会話をする「ブラインド・チャット」というコミュニケーションが流行した。ブラインド・チャットはオフラインで行われる(そもそもインターネットが一般に普及していない時代の話)ので、実際にはただの普通の会話であり、キーボードはフェイクに過ぎない。しかし、こうした虚構の手段は、ユーゴスラビア解体にともなった隣国とのギクシャクした関係性を反映するものだといわれている。アルバニアの鎖国政策、ブルガリアの経済困難、ギリシャからの経済制裁、これらの最中にあって、若者は自国を誇れるものが何一つなく、欧米から輸入されてきた「インターネット」を、実際上のツールとしてではなく、「ファッション」として取り入れていったのだ。

そのうちに、マケドニアは経済成長していき、ヨーロッパへ留学する者が多くなる。彼らはインターネットというコミュニケーションが現実の手段として手に入るようになるや否や、独自の個人主義的な観点から、法律には縛られないフリーダムな行為を行うようになる。それがハッキングであり、情報の不法な入手とシェアである。これらの自体は、映画「マトリックス」の中で、マケドニアの工業都市である「ザイオン」が登場する際に極めてリアルに描かれている。

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