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2018/06/18

JOURNAL180618




義理というのはなんだろうか。
ぼくは、たった数回しか会ったことのない外国人に、勝手に義理を感じている。

その外国人は、日本で仕事をしながら、音楽をやろうと思っていた。
というか、やっていた。

母国でもやっていたんだが、日本にやってきて、
それで日本で初めてライブをする、という日に、ぼくと出くわしたのだ。

日本語はあまり喋れない。
そして、彼は二度目のライブの日にも、ぼくと出くわした。


その日、彼は当初の予定よりも大遅刻してやってきた。
彼が飼っている犬が死んだのだ。

ぼくがお悔やみの言葉をいうと、彼はすこし元気そうな顔をした。
そして犬の写真を見せてくれる。

その日、彼は犬が死んだこととは別に
とても悲しいことを経験したのだった。
ぼくはそれを知らなかったが、うっすらとは、なんとなくは、
気づいていた。
彼は、日本に来たばかりで、日本語もあまり話せず、友達も少なく、
今朝は犬が死んで、それからおいかぶさるように、別の、悲しいことがあったのだ。

それから随分経った今でも、なぜかぼくは彼に義理を感じている。

その気持ちを、ぼくは、素直にメールした。
その日から随分たっていて、それ以来会ってもいなかったけど。

義理というのはなんだろうか。

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