2017年9月23日に「世界未来音楽会議」終了いたしました。
ケージ没後25年を冠する日本で唯一のイベントにして現代音楽とポップスを破壊する伝説的なイベント。
イベント終了後、出演者も含めて多くの人が興奮に包まれ、一つの空間で芸術的な爆発状態にいるようでした。
企画者であるぼくも、「これは伝説的なイベントになる」とは言っていたものの、それを実際に目の当たりにし体験し、ここにいた人たちが数年後に何らかの形でこの日を感慨深く振り返ることになるに違いないと確信した。
世界未来音楽会議、凄く楽しかったです。とても刺激で素晴らしくて、もう本当に面白かったです。自分の中で世界が広がりました。川島素晴先生とmacaroomさん、本当ありがとうございました。12/16のケージインも是非聴きに行きたいと思います。楽しい時間をありがとうございました。 pic.twitter.com/1jZLr6DHKv— ミチです。(クソ垢) (@mitimtimitimti) 2017年9月23日
僕はジョンケージの事をよく知らないけど川島先生の楽譜に忠実に再現したらしい演奏とmacaroomのポップに表現した二つの表現法とアサヒさんの説明を聞いてほんの少しだけ感覚が捉えられれた気がする。 pic.twitter.com/jaTYk63Xkn— ⭐️Take⭐️xx (@Takeluxurylife) 2017年9月23日
表題や惹句からも見て取れるケージへのアプローチはジャンルレスで面白かった。イメージの破壊と構築。-ジョン・ケージ没後25年特別企画『世界未来音楽会議』現代音楽とポップスの向こうへhttps://t.co/0REhsVdUSphttps://t.co/m08Y8NSxHD— kojin (@kojinxxxxxx) 2017年9月24日
●現代音楽が大衆に戻ってきた!!
今回の企画のまず第一のコンセプトである、「cage out」という考え方、
これは、現代音楽が権威主義的な、アカデミックな、高尚な、真面目な、偉そうな、難解な、ものになってしまったことへ断固としてノーを突きつけるというものだった。
そして、現代音楽の若き巨匠である川島素晴先生と、謎のエレクトロニクス「木洩れ日エレキ」による、ジョン・ケージの同時演奏ぶっつづけの30分間。
爆笑に次ぐ爆笑であり、客席からは(関東圏のイベントにしては大変珍しく)ツッコミが自然と出てきたのである。
川島先生がステージ上でポテトチップスとカップラーメンを食べ始めた時には、ぼくも自然と「ただの一人暮らしやがな!」と声が出ていた。
演目
1 The Wonderful Widow of Eighteen Springs
2 Branches + Song Books + Solo For Piano
3 A Flower
注目は、10種類の植物を用いて指示通りに曲を展開していく大作「Branches」を木洩れ日エレキが演奏し、
同時に川島素晴が90曲以上ある歌集「Song Books」を演奏するという部分。
Branches+Song Booksの同時演奏はmacaroomと同じであるにもかかわらず、この様変わり、そしてやれば必ず客席から笑いと感嘆をとる腕前は流石の一言だ。
サボテン叩いたり、ポテトチップス食べてますが、音楽です。もう音楽の概念ぶっ飛ばされます。川島先生すごいな。ジョンケージっていったいなんなんだ。 pic.twitter.com/dLmXzxkkoF— ⭐️Take⭐️xx (@Takeluxurylife) 2017年9月23日
大爆笑大歓声のジョン・ケージ演奏、これを目撃できたことに誰もが感動していた。
その証拠に、木洩れ日エレキのDavid氏(壊滅的に日本語が喋れない)は、この日に「感動」という日本語を覚えたらしい。
「今日、覚えました、言葉、カンドウ」
「今日、覚えました、言葉、カンドウ」
●エレクトロニカ勢の猛襲
●そして、cage outへ
しかしながら、Jobanshi、ermhoi、macaroomというエレクトロニカ勢が「大衆性」と「難解さ」においてただ親指を咥えているわけではない。
Jobanshiはこの日のために88曲ものアンビエント作品を制作し、それを30分間で同時演奏するという驚異的な実験を淡々とこなしていた。ぼくはJobanshiの演奏に常日頃から「僧侶のような態度で音楽に取り組む人だ」と思っていたのでそれを告げると、彼は「思えばぼくはずっと修行をしているのかもしれない」と言っていた。そう、Jobanshiにとって演奏はエンターテインメントでも快楽でもなく、修行であったのだ。さて、客はその修行にただひたすらに耐えるのかというと、そうではなかった。フルイドアーティストのジョンと武術家の木石南が口を揃えて「Jobanshiのような音楽をやってみたい」と言ったのはライブ終了後まもなくだった。
またermhoiのライブも同様に、客席の反応が渦巻いていた。おそらく、こんな原石が下北沢の小さなライブハウスにいるなんて想像もしていなかった人たちだろう。ぼくは内心、今回のイベントですべてのアーティストにアンコールがかかるんじゃないかとヒヤヒヤしていた。いや、事実アンコールになりそうなギリギリの状態だったが、客席で全員がおそらく空気を読んで、大トリであるmacaroomまで我慢をしてくれたのだろう。そうでなけりゃ一晩でイベントが終わらなくなってしまう。
macaroomはエレクトロニカのユニットとして活動しつつ、「cage out」というジョン・ケージ演奏のアルバムを発売しているので、今回のイベントとしてはちょうど中間に位置するような存在だ。
しかし、ぼくは難解さを前面に押し出すことはしたくなく、ましてや川島素晴先生が現代音楽の最高峰で最先端といえるケージ解釈を見せつけてくれたので、むしろ安心してポップさに徹することができたのだ。
ジョン・ケージは素晴らしい。川島先生はあれほど狂った演奏で客席を大爆笑に包むのに、macaroomは全く同じ楽譜をもとにこれだけ幸せなポップサウンドでイベントを締めくくれるのだから。
セットリスト
1 mizuiro
2 homephone TE
3 yeah, we're low force
4 shinkiryu dropper
5 congress
6 Branches + Songbooks
7 ame
8 kingdom (アンコール)
macaroom -homephone TE pic.twitter.com/qVZnMC66Mr— ⭐️Take⭐️xx (@Takeluxurylife) 2017年9月23日
macaroomによるBranchesとSong Booksの演奏は、お客さん(Twitter : Takeluxurylife)が撮影してくれているので拝借。ボブのシステムと木石南の武術、そしてmacaroomの演奏が初めて大集合で結実された瞬間であり、本当にジョン・ケージが没後25年を経てようやく自由になった(cage outした)瞬間だった。
企画イベント、レコ発ということで、なにげにグッズなど補強していました。
トートバッグは、emaruによるゆるゆるバージョンとぐちゃぐちゃバージョン、そしてぼくの絵によるバージョンと3種類も用意したが、すべて完売!
macaroomさんアサヒ教授による貴重な絵のトートバッグは私の手にある!そして、「cage out」CD-Rの絵は なかなかなさいぼう具合だと思う♬♡ pic.twitter.com/B7VETWlGLo— しるび (@symph_sylvian) 2017年9月23日
●ボブがシステムを語る
macaroomが今回用いた演奏システムに関しては、昨年のイベントと同様、ボブがツイッターで解説してくれているので、それを拝借。普段はあまりシステムのことをとやかく言ったり、ネタバラシはしないのだけど、こうした企画イベントでは逆に全部言っちゃうというのも恒例化しつつある
Branches + Song Booksでは、遺伝的アルゴリズムを使ってランダムなリズムパターンから、落ち着いたリズムへ徐々に変化させています。よく聴いていた方は、曲が後半へ進むにつれてリズムが落ち着いてくるのに気付いた方がいるかもしれまけん。gaとは自作のエクスターナル。 pic.twitter.com/BvN0VUJZKo— だきやま a.k.a. Bob (@dakiyamasan) 2017年9月26日
サボテンの音はアサヒのキーボード演奏によりピッチを持った音に変換されて出ていました。Max7から追加されたzynapticのアルゴリズムを用いたピッチシフトオブジェクト "retune~" を使いました。https://t.co/pQIK8rkPsA pic.twitter.com/OxTOQHqck1— だきやま a.k.a. Bob (@dakiyamasan) 2017年9月26日
映像は勿論この曲もリアルタイム・レンダリング。このライブ演奏のためにサボテン演奏を録音しに行った時の映像も組み合わせて、久しぶりの画像処理と3DCGの合わせ技です。 pic.twitter.com/pM0yXRafe5— だきやま a.k.a. Bob (@dakiyamasan) 2017年9月26日
アンコールはKingdomを演奏。本当に久しぶりの演奏ですが、初めてmacaroomのプログラムを作ったのがこの曲。アルゴリズミックなリズム生成、リアルタイム音声処理。今のmacaroomのライブスタイルの重要な要素が既にこのプログラムの中にあります。 pic.twitter.com/qA9Qt1QtRB— だきやま a.k.a. Bob (@dakiyamasan) 2017年9月26日
●展示作品が日本初であることはおかまいなしに
ジョン・ボッチによるフルイドアートの作品展示はイベント全体の士気を上げ、また会場の雰囲気をますます抽象度の高いものにしてくれた。ほとんどはフリップカップとよばれるスタイルでつくられているが、一部はスワールと呼ばれる、先月くらいにトレンドとなったばかりの作品まで展示されている、スワール流行後の作品展示はおそらく日本で最初のはずだろうし、貴重な展示であったことは間違いない。レコードの上に描いた作品はすべて2000円という超超激安で売るところもジョンらしい。
macaroom企画に遊びにいったよ~— 菅原ユウキ (@ohana_HA_kirei) 2017年9月23日
フルイドアートという作品を買いました、沢山あった作品で目玉焼きに一番似ていたので選びました。
木石南さんの小説、冒頭数ページ電車の中で読む、ユーモアのセンスとても好みで読み進めるのが楽しみ。 pic.twitter.com/U8nRN1BJ9W
みんなで仲良く打ち上げました。
macaroomは次の企画へと大忙し。なんとついに3rdアルバムが発表されるとか。
左からジョン・ボッチ、木石南、アサヒ、emaru、ボブ
左からジョン・ボッチ、木石南、アサヒ、emaru、ボブ